平成30年(2018年)12月定例会 県民投票反対討論
◆大山孝夫 議員
おはようございます。自民党会派の大山でございます。
議案第147号、平成30年度那覇市一般会計補正予算(第6号)について反対の立場から討論をさせていただきます。
まず、この県民投票というもの自体については、直接県民の市民の皆さんの声を届けるということで、大変重要なものであると理解をしております。
しかしながら、今回の県民投票については、いくつかの疑義が残ります。
そのままで財源の厳しい沖縄県、そして那覇市が5,898万9,000円の税金を投じることについて、このまま賛成することについては看過できません。
この議会で問われていることは、県民投票がこの辺野古埋立てに大きな意義と那覇市に還元することができるかどうかであると思います。
辺野古埋立に関して一番大切にする民意とは、普天間基地を抱える宜野湾市民の方々、そして統合先の辺野古地区の方々の民意であると思います。
宜野湾市議会は20日、同市内の米軍普天間飛行場を名護市辺野古に移設する計画の賛否を問う県民投票の関連予算を盛り込んだ、平成30年度補正予算を否決し、松川宜野湾市長も県民投票事務を実施しないことを表明いたしました。
名護市辺野古区の意思決定機関である行政委員会は、12月12日県民投票に反対する意見書案を全会一致で決議をしております。
これらの方々の意見こそが最も重要であり、那覇市としても地元の方々の民意を尊重することが重要であると思います。
また、この県民投票を持つ効果についても疑問が残ります。
辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例の第10条(投票結果の尊重等)の第2項に「県民投票において、本埋立てに対する賛成の投票の数又は反対の投票の数のいずれか多い数が投票資格者の総数の4分の1に達したときは、知事はその結果を尊重しなければならない」とあります。
また、同3項には「前項に規定する場合において、知事は、内閣総理大臣及びアメリカ合衆国大統領に対し、速やかに県民投票の結果を通知するものとする」とあります。
玉城デニー沖縄県知事は、10月12日及び11月28日に首相官邸で安倍首相と面会しておりますし、11月11日から16日の間についても公表しております。
そこで訴えることと、県民投票後に訴えることの具体的な意味が不明確でありますし、その効果もまた明確ではないと思います。
また、県民に関する意識調査が平成27年に実施され「平成27年度地域安全保障に関する県民意識調査」という項目があり、問25「普天間飛行場の辺野古移設に対する考え」の項目では、普天間飛行場を名護市辺野古に移設する政府方針に賛成ですかというアンケートに賛成が13.5%、どちらかといえば賛成が12.0%、どちらかといえば反対が13.6%、反対46.6%、わからない15.3%という結果になっております。そのアンケートでは、本県民投票と異なり、設問も「わからない」を含めると5つです。わからないと答えた15.3%の方々に質問するために、この県民投票は実施するのでしょうか。
また、条例第13条(事務処理の特例)において、第3条に規定する知事の事務のうち、投票資格者名簿の調製、投票及び開票の実施その他の規定に定めるものは、地方自治法第252条の17の2の規定により、市町村が処理することとするとなっております。
当局は、県民投票の市町村の事務処理について、地方自治法第252条の17の2を根拠に義務的経費と位置付けております。
しかしながら、この法第252条の17の2というものは、本来の性格として、都道府県知事の権限に属する事務の一部を都道府県条例で定めることにより、市町村が処理することができるというもので、本来であれば、国県の権限を市町村に実質移譲するような性格のものでございます。
地方自治法条項による事務処理の特例制度については、1990年代以降の地方分権の流れの中で地方公共団体の事務・事業の権限を増加することにより、またその権限行使について、国の行政機関及び法令による義務付け・枠付けを緩和することでありました。
本来であれば、権限を移行するために設定された本条項の適用について、設定時の趣旨に反し、今回のようにもし議会で賛否が問われることを義務的経費と位置づけてしまうと、県が制定した条例において、一方的に県民投票が義務であると言われること自体、地方自治・地方分権の無視であり、今後、県条例で採択されたものは、全てが義務的経費となりかねない前例となってしまう恐れがございます。
我々議員としては、義務的経費の本来のあり方をとらえ、これ以上財政の硬直化を招くのではなく、1円でも真に必要な政策や保護が市民や県民に届くように、義務的経費を不断に改革していくことこそが、市長や私たち議員、政治家が背負うべき使命ではないでしょうか。
いくら県民投票を県からの予算を主たる財源とし、その執行を行うとしても、元は那覇市も含む県民の皆様の税金を使用させていただくことになります。このまま、那覇市が県民投票の法的位置づけ、法が持つ本来の趣旨と異なるまま実施されたとき、税金の無駄遣いをされ、住民監査請求などが発生し、住民と市役所の対立などが生じる可能性もあるのではないでしょうか。
住民が直接政治に参加する投票制度自体について否定をするものではございませんけれども、本県民投票につきましては、この那覇市の5,898万9,000円の税金の投入、県民投票がこれまで行ってきた訴えと何が違うのか。何よりも基地負担が多い、宜野湾市及びキャンプ・シュワブを抱える辺野古地区住民の意見を尊重することが県民投票を超える県民住民の意思だと思っております。沖縄県もぜひ名護市や辺野古地区の民意も聞いていただきたいと思います。
県民投票条例関連予算が含まれる議案第147号、平成30年度那覇市一般会計予算(第6号)については、反対をいたします。
議員各位のご賛同をよろしくお願いいたします。