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指揮の本旨
指揮の本旨
指揮官は、指揮の中枢であり、また、部隊団結の核心である。
指揮官は、進んで徳操を養い識見・技能を磨き、常におう盛な責任観念と堅確な意志とをもって率先きゅう行、その職務を遂行するとともに、公正無私、骨肉の至情をもって部下に対し、もって部隊の模範としてその尊厳と信頼を受け止めるように努めなければならない。
事に臨んでは沈着冷静、積極敢為、き然として難局に当たり、任務遂行の原動力とならなければならない。
識見(しきけん)・・・ 物事を正しく見分ける能力。また、学識と意見。すぐれた意見。見識。
堅確(けんかく)・・・ かたくて確かなこと。しっかりしていて動かないこと。また、そのようなさま。
率先きゅう行(そっせんきゅうこう)・・・人の先に立って実践すること。
公正無私(こうせいむし)・・・公平で自分の個人的な感情や利益をからませないこと。また、その様子。
骨肉・・・① 骨と肉。肉体。 ② 親子、兄弟など血縁関係にある者。肉親。やから。
至上・・・ 程度がこの上もないこと。また、そのさま。最善。最上。
敢為・・・物事を反対や障害に屈しないで、思いきってやり通すこと。押し切って行なうこと。敢行。決行。
指揮の本旨の解説
指揮の本旨を明確にし、指揮官の地位の重要性と、指揮官の心構えとして重視すべき事項とを強調されたものである。
指揮は権限による合法的な強制力を部下に及ぼすことを基調とするのに対し、統御は部下を感化教導[1]することを基本とするものであるが、指揮と統御は任務遂行について相互に密接に関連しあい融合一体化すべきものであることから、本項における式は、統御を踏まえて表現されている。
感化(かんか)・・・ものの考え方や生き方などを、強制したりすることなく、自然に相手に共感させて影響を与えること。
教導(きょうどう)・・・教え導くこと。教えを説いて導くこと。教道。
指揮官の地位の重要性については、古来協調されてきたところであり、本項においても、指揮官は部隊団結の核心、指揮の中枢、任務遂行の原動力たるべきことを要求されている。
航空作戦における戦勢の帰すうは短時間に決定する場面が多い反面、その準備は広範多岐にわたるため、一度発動された作戦を途中で修正変更することは、極めて困難であるばかりでなく、戦機を逸し多くの混乱・錯誤を生ずる結果となりやすい。また、作戦指導を一歩誤ればばく大な人的・物的損耗を招く結果ともなりかねない。
したがって、航空自衛隊の指揮官の決断・決心は、極めて重要である。更に、指揮官は、広大な空域・地域に分散する部隊を指揮し、各々固有の機能を発揮させ、総合戦闘力を最大限に発揮して任務を遂行すべきことを要求しなければならない場合が多い。
本項は、これらの点から指揮官としての心構えと指揮実行上重視すべき事項を明示されたものである。
指揮の本旨について
航空作戦の本旨
航空作戦は、短時間で状況が展開していくことが多い、そのため各級指揮官が、自らの部隊の任務を守るために自己判断で権利を行使しなければなりません。
その際には、部下に半強制的に行動を起こさせる「命令」と、部下が自発的に、上司の背中で見せるような「感化教導」を組み合わせて行うことが大切です。
そのためには、明確な決断と、普段からの部下隊員との接し方が重要ですね
大山たかおSNS
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